歯が痛い! 歯の痛みの原因とは
みなさん、こんにちは。
いつも、ももこ歯科のブログを読んでいただきまして、ありがとうございます。
今回から数回に分けて、歯の痛みについてお話しします。
痛みがあるために、歯科医院を受診する患者さんは多いにもかかわらず、痛みの診断は、困難です。その理由を以下に記します。
- 痛みは、主観的な症状で定量化できない
- 痛みは、客観的な判断が困難である
上記以外に、痛みの診断が難しい理由は、患者さんは、『歯が痛い』と表現しても、本当に歯が痛いのか、それとも、歯肉が痛いのか、まれではありますが、まったく別の原因によって歯が痛いと感じていることもあるからです。
痛みを診断する際に、まず問診や診査の情報をもとに、部位の特定、痛みの原因を探ります。
痛む部位や原因の特定
最初に、部位の特定です。ヒトは左右を区別できますが、上下の区別はできないこともあります。痛みがスポットで現れている場合もあれば、周りに広がって痛みを感じることもあります。痛みが広がって感じることを放散痛といいます。
たとえば、患者さんがよくおっしゃるのは、『左のほっぺたが、ボワンとしてる感じがする』『耳の方まで痛い』などの表現です。
放散痛があって、耳の方まで痛いと感じている場合、患者さんは耳の方まで悪いことが起こってしまっているのではないか、と不安そうにしていらっしゃる方が多いです。
しかし、歯の痛みが原因で、耳の方まで痛い場合、歯の痛みを取り除けば、“耳の方まで痛かった”痛みは、治ります。
次に、痛みについてどんどん掘り下げていきます。
- 痛みの期間:いつから痛いか。
- 痛みの感じ方:鈍いか、鋭いか、ズキズキ、チクチク、シクシク等々。
- 痛みの持続時間:何時間、何分、何秒、一瞬等々。
- 痛みの程度:図1のフェイススケールであれば、0〜5のどこに位置する痛みなのか。
- 痛みがどんな時に感じるか:何もしていなくても痛いか、誘発される痛みか。
- 痛みが誘発される場合どんな時か:噛んでいる時、冷たいもの、温かいもの等々。
- 痛みにともない、腫れも感じているか。腫れているならいつ頃からか。
- 熱はあるか?
等々。
図1は、フェイススケールといって、痛みの程度を患者さんに教えてもらって評価するものです。
0はまったく痛みがなく良い状態、反対に、5は涙が出てしまうほど痛い状態です。
患者さんに、このようなスケールを見てもらい、痛みの程度を教えてもらうのも、痛みの診断には大切な情報の1つになります。
患者さんが苦しんでいる痛みを共有できるからです。
最後に診査をしたのち、疑わしい歯のレントゲンを撮影して、自分が予測していた診断名と合致するかどうか、見極めます。
痛みの診断は、複雑で難しいのです。
痛みを緩和させる応急処置方法
痛みは、人を怖がらせます。
一度痛みを感じると、早くこの苦痛から逃れたい、と思うものです。
すぐに歯科医院を受診できれば良いのですが、お仕事があって、なかなか受診できない方は、どうすればいいか。
いったん、痛みを緩和させるには、冷やす等々あると思いますが、まず確実性を求めるならば、痛み止めを内服するほうがいいでしょう。
しかし、痛み止めで何日もしのぐことはおすすめしません。
理由は、痛み止めでは、根本的な解決ができないからです。
また、痛みが冷やして緩和することもあれば、ひどくなることもあるので、注意が必要です。
ちなみに、誘発されるだけの痛み、たとえば冷たいものや温かいものに痛みを感じたり、物をかむときに痛みがある場合等々は、痛み止めを内服しても、多少痛みは軽減されるかもしれませんが、期待にはおよばないことがあります。
痛み止めを内服して効果がある場合は、自発痛(何もしていないのに痛む)があるときです。
歯科医院から処方してもらう痛み止めは、まず歯の痛みを改善してくれるとは思います。市販のものであれば、『歯痛』と書いてあれば内服してもいいと思います。
ただし、歯科医院から処方してもらう時でも市販のものを内服する場合でも、以前にアレルギー症状が出た薬は、事前にお知らせした方がいいです。
また、歯が痛いといっても、虫歯が原因か、歯肉か?まったく歯とは異なるところが痛いのか、患者さんは判断がなかなかつきにくいと思いますので、できるだけ早く、歯科医師に診てもらう方が賢明でしょう。
ちなみに、歯肉の炎症が原因で歯に痛みを感じている場合、抗生剤を併用した方が、痛みを抑える効果が増します。
いずれにしても、痛み止めは、痛みを緩和させるための短期目標として内服したほうがいいです。
これから数回に分けて、歯の痛みについてお話しします。
次回以降は、各論になります。
お楽しみに。